食育コラム

管理栄養士のひよこ 管理栄養士のひよこ

食で予防する熱中症

こんにちは。管理栄養士のひよこです!

皆さまいかがお過ごしでしょうか?

前回のたらこの投稿も確認していただけましたか?☺

7月度のコラムのテーマは「食で予防する熱中症」です。

気温が高い日が続くとどうしても食欲が湧かず、夏バテしてしまいますよね。

熱中症のピークは7~8月と言われていますが、梅雨入りから夏の終わり頃まで注意が必要です。熱中症予防には、日傘や帽子で直射日光を避け、こまめに水分補給や休憩をすることが必要です。そこにプラスして、食事や睡眠など暑さに負けないからだづくりが大切です。

今回は、熱中症の基礎知識と夏に向けて食事で意識するポイントをご紹介します!

 

 ●熱中症とは?

 高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を差します。

厚生労働省“熱中症予防のための情報・資料サイト

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/index.html

 

●熱中症の症状と分類

 Ⅰ度の場合、ただのめまい、立ちくらみと思わず、少しでもいつもと様子が違うと思ったら涼しい場所に避難してからだを冷やしましょう。頭痛や嘔吐などの症状が出現し、少しでも意識が朦朧としていたらⅡ度以上と判断し、すぐに病院への搬送が必要です。Ⅱ度で自ら水分・Na⁺の補給が困難なときや、Ⅲ度の症状であれば一刻も早い治療が必要となります。


「日本救急医学会熱中症分類2015」より

 

●熱中症になる原因(環境・行動・からだ)


【参考】環境省「熱中症環境保健マニュアル2018」をもとに作成

室内にいるから安全というわけではなく、閉め切った室内やエアコンの無い部屋は熱中症になる可能性が大きくなります。電気代を気にしてしまう気持ちは痛いほど分かりますが、熱中症になった場合の体調面や病院に行く費用など諸々考えると、暑い!と思ったらすぐにエアコンや扇風機をつけることをおススメします。

 

 

熱中症の予防についてのリーフレット(厚生労働省)


厚生労働省が出している、熱中症予防に関するリーフレットをご紹介します。

外出時には日傘や帽子を着用して暑さを避けましょう。衣服は汗を吸いやすく蒸発させやすい綿や麻、ポリエステルのものを選び、色は直射日光からの熱を吸収しにくい白や水色を選ぶと良いでしょう。

 

 

●熱中症予防に!夏に意識して摂りたい食べ物

 熱中症予防には食事のバランスや暑さに負けないからだづくりが大切だと冒頭でお話させていただきました。気温が高い日は何もしていなくてもエネルギーや体力を消耗し、汗をかきます。エネルギー不足になると夏バテしてしまい、熱中症にもなりやすくなります。

暑さに負けないからだを作るには、エネルギー源となる炭水化物をしっかりと摂ることと、不足しがちな栄養素を補うことが大切です。


ビタミンB1
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変えるための代謝を助ける働きがあります。また、疲労物質とされる乳酸を分解してエネルギーに変換する際に役立ちます。

 

ビタミンB1を多く含む食材:豚肉、玄米、豆腐、モロヘイヤなど


クエン酸

クエン酸もビタミンB1と同様に、疲労物質とされる乳酸を分解してエネルギーに変換する際に役立ちます。また、食欲がない時にクエン酸の酸味で食欲を促します。

クエン酸を多く含む食材:梅干し、レモンなどの柑橘類、酢


ビタミンC

ビタミンCは抗酸化作用があり、夏の強い紫外線によって生じやすい活性酸素の働きを抑えてくれます。また、夏の暑さによって生じやすいストレスに対して、抵抗力を高める働きもあります。


ビタミンCを多く含む食材:赤ピーマンなどの緑黄色野菜、じゃがいも、ぶどう、桃、なし、キウイフルーツ、オレンジなどの果物


※ビタミンCは熱に弱く、加熱調理により分解されやすいため、生で食べられるものは生で食べることをおススメします。例外として、じゃがいもやさつまいもは加熱による影響は少ないとされています。

 

 

●食事のポイント

①夏野菜の積極的摂取

・夏野菜のキュウリやトマト、とうもろこしなどの水分を多く含む食材を取り入れて、食事を通して補給する

 

・夏野菜の例:トマト、ナス、キュウリ、カボチャ、とうもろこしなど


②味付けで食欲増進

・梅干しやレモン汁、酢を使用したさっぱりした味付けにする

・薬味、香味野菜を使用する(しょうが、しそ、わさびなど)

・辛味を取り入れる(カレー粉、キムチ、唐辛子)


➂のどごしの良いものにする

・スープなど水分の多い料理

・ねばねばの食材を使用する(納豆、オクラ、なめこ、とろろ芋)

 

 

●おすすめの食事例

基本は1日3食、それぞれ主食、主菜、副菜を摂れると良いですが、難しい日もありますよね。

そこで、今回は夏におすすめの食事例をご紹介します!

 

 


 

 

こちらの食事にプラスで不足しがちな栄養素を補うことで夏バテを防止しましょう!

例)冷やし中華+オクラでネバネバに!

キーマカレー+ナスで夏野菜カレーに!

+フルーツヨーグルトや野菜サラダを追加しても◎

 

 

●経口補水液について

 熱中症が疑われる場合は、経口補水液が有効ですが、予防的に服用する場合は注意すべきポイントがあるのでそちらも押さえておきましょう。

 

特別用途食品 病者用食品のマーク


経口補水液はスポーツドリンクなどと違い、特別用途食品の病者用食品(消費者庁の病者用マーク付)で、予防のための飲料ではありません。一般的なスポーツドリンクよりもナトリウム等の塩分濃度が高いので、高血圧の方や腎臓病や心臓病などの持病がある方は注意が必要です。

また、塩分を過剰摂取してしまうと高血圧の原因にもなりかねません。汗をだらだらとかいた日や、長時間屋外にいた場合の栄養補給は、自分の体調や医師、管理栄養士と相談しながら考えていきましょう。

 

↓以下の動画からも確認できます。

【動画】経口補水液ってなに?(字幕あり)

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/movie_002

 

専門家からのコメントやアドバイス

大量に汗をかいた時に水で水分を補給してしまうと、塩分欠乏型脱水(低張性脱水)になる恐れがあります。そのため、脱水予防のために水分を摂取する際には、Na+などが含まれるスポーツドリンクが有効です。一方で、スポーツドリンクには腸管での速やかな水分吸収やエネルギーの補充を目的として糖質が含まれることが多いです。スポーツドリンクの栄養成分表示の1例をみてみると、100 mLに含まれる炭水化物は6.2 gと書いてありました。この場合、炭水化物のほとんどが糖質と考えられるので(食物繊維は含まれないため)、500 mLのペットボトルに約31 gの糖質が入っていることになります。スティックシュガー(3gのもの)で換算すると約10本分です。肥満や糖尿病の心配がある人は糖質の摂取が過剰にならないよう、水分補給する際の飲料にどれくらいの糖質が把握しておくことも重要です。

 

 

≪まとめ≫

夏はどうしても暑さにやられて食欲が落ちてしまい、そうめんなど冷えてつるつるしたものが食べたくなりますが、そうめんのみだと炭水化物に偏りがちになってしまいます。

そこに副菜を取り入れたり、野菜をのせてみたりするなどプラスワンの工夫で栄養バランスが良い方向に進みます。私自身、暑くてコンロを使いたくない日は、レンジで完結できる料理(先程ご紹介したキーマカレーなど)を作っています。

熱中症はどの年代も注意が必要ですが、年齢を重ねると、暑さやのどの渇きに対する感覚が鈍くなり、体内の水分が不足しやすくなります。自分の体調の変化に気をつけるとともに、周囲に気を配り、呼びかけあって、みんなで熱中症にならないようにしましょう。

熱中症は重症化すると命にかかわることもありますので、日々の生活から予防を心掛けていきましょう。

 

監修:金城学院大学 生活環境学部 食環境栄養学科

 

第3回目の食育コラムはいかがでしたか?

感想や気づいたことなどありましたら、こちらのコラムにコメントを是非お願いします!☺♫

 

 

参考:

厚生労働省Webサイト “職場でおこる熱中症”

https://neccyusho.mhlw.go.jp/heatstroke/

 

環境省“熱中症予防情報サイト”

https://www.wbgt.env.go.jp/heatillness.php

 

厚生労働省“熱中症予防のための情報・資料サイト

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/prevent.html

 

消費者庁

ご存じですか?経口補水液の知識

https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_for_special_dietary_uses/assets/food_labeling_cms206_20240430_07.pdf

 

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おにぎり倶楽部 運営事務局

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コメント一覧

  1. >MAIMAI さん コラムをご覧いただきありがとうございます✨少し意識するだけでも行動と体調に変化が出るので、これならできそう!と思えるものから一緒に始めて、全員で夏の暑さに打ち勝ちましょう♫

    管理栄養士のひよこ
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  2. >田舎の徳さん 嬉しいコメントをしていただき、励みになります✨皆さまが知りたい!と興味関心が湧くような内容を発信できるよう、今後も全力を尽くします🔥 食に関するギモンなどございましたら、ご意見お待ちしております(^^)/

    管理栄養士のひよこ
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  3. >荒ぶるさん コメントしていただきありがとうございます☺旬の野菜は栄養価が高いものも多く、価格も安いことが多いので凄くオススメです✨四季を感じることもできますし、食事に彩りが出るので見た目も良くなります! 夏は熱中症のほかにも、食中毒にも注意が必要なので、前回のたらこのコラム「食品の保存について」の投稿も是非チェックしてみてくださいね♫

    管理栄養士のひよこ
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  4. >おつきさん こんにちは!いつもコメントありがとうございます✨そうなんです、年を重ねるにつれてのどの渇きや暑さが感じにくくなるので、特に注意が必要です(~_~)💦自分では暑いと思っていなくても、温度計を見たら30℃以上…なんてこともあるので積極的に声をかけていただく方法は凄く良い行動だと思います☺今年も暑さに負けず、楽しく乗り切りましょう!!

    管理栄養士のひよこ
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  5. >シャランジャラン さん ありがとうございます!まだまだ暑い日が続くので体調に気を付けてくださいね☺ また、コラム内で少し分かりにくい…と思う説明がありましたらお気軽にコメントしてください(^^)/

    管理栄養士のひよこ
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  6. >ゲストさん コメントありがとうございます✨また来月のコラムも是非チェックしてくださいね♫

    管理栄養士のひよこ
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  7. MAIMAI さん

    分かりやすい説明でとても参考になりました。この夏、気をつけて過ごしたいです。

  8. 田舎の徳さん さん

    よくわかる説明で、色々なサイトも参考になりました。次回も楽しいにしています。

  9. 荒ぶる さん

    この度は詳しい情報をありがとうございました╰(*´︶`*)╯ 夏野菜、しっかりとりたいな、と読んで思いました!美味しい野菜を食べて熱中症予防を意識していきます。

  10. 荒ぶる さん

    この度は詳しい情報をありがとうございました╰(*´︶`*)╯ 夏野菜、しっかりとりたいな、と読んで思いました!美味しい野菜を食べて熱中症予防を意識していきます。

  11. おっき さん

    ひよこさんこんにちは♪ 熱中症、要注意していかないといけないですよね!高齢者って、本当に体感温度が鈍くなるんですね…。親族が高齢で、クーラーをほとんどつけていないし、食が細くあっさり系ばかりしか食べていなので、良く注意して声かけてあげないといけないですね!全世代、気を付けて楽しく夏を乗りきりましょうね!!今回も楽しかったですし、勉強になりました♪

  12. シャランジャラン さん

    詳しい説明して頂き勉強になりました。

  13. ゲスト さん

    大変参考になりありがとうございました(*^^*)